『イメージ力』の紙一重・・☆

〜映画『楽園』のポスター〜



古代から森羅万象に神々が宿る

アニミズム精神のDNAを持つ日本人は

『イメージする力』も豊かな民族だと思っています。

古代では『呪詛』が、

磐座など自然の形を御神体と考える神道、

仏教が伝来してから『極楽浄土』のイメージを

具現化した建築技術と思考は

現代でも色褪せる事なく

私たちの心に語りかけてくれます。

一千年の古都、京都には

あの世とこの世を結ぶ井戸やお寺を始め、

『地獄と極楽』にまつわる名所が数多く存在します。

そしてあの世とこの世の存在を信じていたからこそ

四季を通して様々なお祭りが現代でも大切に

守られて来ています。

そして興味深いのは

平安時代に貴族の間で流行った

『「往生要集(おうじょうようしゅう)』

と言う本の存在です。


比叡山延暦寺のお坊さんである源信が、

地獄と極楽についてビジュアル的に詳しく明記し、

どのような生き方をすれば極楽へ行けるか?

と言う道徳的お手本が書かれている本。

当時の貴族たちはその本に描かれている地獄が

あまりにも恐ろしくて

本を見ながら一生懸命『極楽』のイメトレを

していたそーです。

やはりより具体的にイメージする事が

極楽浄土へ行くために大切な事・・。

頭の中でどれだけイメトレをしても不安になった

平安貴族の藤原頼通は、

実際に本に書かれているビジュアル通りに

極楽を作ってしまえ!!

っと平等院鳳凰堂を建て、

毎日、眺める事によって

確実に極楽へ行ける方法を見出したようでした。

まさか、平等院鳳凰堂の創建のきっかけが

イメトレのためだったとは・・笑。

〜まさに『極楽浄土』のイメージ通りに創建された平等院・鳳凰堂〜



確かに平等院鳳凰堂は

完璧な極楽浄土の世界観を作り上げています。

其の一方で『イメージ力』が豊かな日本人が

ちょっとした誤解や噂話が大きな歪みとなり

それが集団心理の闇となってしまうと

とんでもない悲劇を生む場合があります。


先日、吉田修一氏原作の映画『楽園』を観ました。

実は東京時代、雑誌のインタビューで

吉田氏のポートレート撮影をさせて頂いた事があり、

撮影後、どのワードがきっかけだったのか

覚えていないのですが、

吉田氏はロシア映画が好きで

丁度、前日にタルコフスキーの

『ノスタルジア』を観てあの世界観が大好きだと

お話をされていました。

私自身も学生時代にタルコフスキーにハマった事が

あったので

ついついロシア文学の話に花が咲いた事を覚えています。


その後、吉田氏の作品を拝読する度に

あのタルコフスキーの幻想的な映像と

重なる事が多々あり、

人間の根底に眠る心理を

独自の目線で切り取られているように

思う事もしばし・・・。


そして今回、拝見した『楽園』は

吉田氏の『犯罪小説集』の一つで

環境や人が懐(いだ)くイメージが

如何に犯罪や悲劇を生むのか?

がテーマになっています。


題名となっている『楽園』と言う言葉・・

人は誰でもより良い人生を歩みたいと思っているし、

本人にとっての唯一無二の

『楽園』を模索して生きているものです。


しかし、ちょっとしたボタンの掛け違いから

楽園と思っていた事が地獄へと変わり、

絶望となり、転落へと繋がって行ってしまう・・。


イメージ力の高い私たち、日本人は

本当に細い、繊細な紐一本の上を

進んでいるようなもの。


現代の混沌とした世の中で

様々な情報やメディアが行き交う中、

どれが正しい、間違い、と決めるのではなく

一方的な情報だけを信じるは非常に危険。

柔軟的に客観的に捉えて行く事が大事なんだな・・

っと『楽園』を通じて改めて考えさせられました。



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